コンセプトという、一見難しそうなもの
人は「なぜ生きているのか?」なんて、普通は考えていません。
「なぜ、あなたはエベレストに登りたかったのか?」と問われて、「そこにエベレストがあるから」と答えた有名な登山家*の言葉と同じようなことです。
*ジョージ・ハーバート・リー・マロリー(George Herbert Leigh Mallory 、1886年6月18日 – 1924年6月8日もしくは9日)は、イギリスの登山家。
–Wikipedia
そこに明確な意志や考えはありません。あるべくしてある、なすべくしてなる、といった泰然自若の精神です。
強い意志さえあればいい
ところが、人生の中での短期的な側面では、意志を持つことによって物事が進むこともあります。何らかの意志や考えを含むものが『概念』であり、それを別の言葉で『コンセプト(Concept)』と言い表します。
何だか一見、難しそうですが、モノやコトを表現してそれを伝えていく使命を持つ人にとって、それは避けて通ることのできない考え方なのです。
コンセプトの例を少し挙げてみます。
旅行をするとしますね。
どこに行くのか? 何を目的とするのか? 誰と行くのか?
これに対して次のような意志や考えがあるとします。
北海道に行きたい。大自然を味わうため。気ままな一人旅。
ここには、動機・目的・手段があります。
ひとことで表せば、『大自然の中で束縛されない自由な旅』とでもいえるでしょうか。それがこの旅行の『コンセプトの核』となるといってもいいでしょう。
リアルなビジネスとして、もう少し具体的な例を取り上げてみましょう。
スマートフォンの新製品が出る予定なので、それを伝えるための企画を考えます。
どんな商品なのか?
- 数少ない二つ折りのスマホ。
- 軽くて小さいけれど、大きな画面で表示できる。
誰に使ってほしいのか?
- 大画面で動画を観たいけれど、かさばるのは嫌な人。
- タブレットは大げさと思う人。
- 文字をできる限り大きくして電子書籍が読みたい高齢者。
- 新しもの好き。
どう感じてほしいのか?
- 目が疲れなくなった。
- スマホで映画も悪くないと思うようになった。
- タブレットは不要と感じた。
- 先進的でスマート。
- 次も買いたい。
上記のようなことを想定すると、コアとなるコンセプトは
『これからのスマホは、小さな大画面がいい。』がキーワードとしてふさわしそう。これをベースにしっかりとしたコンセプト文を練り上げていけるでしょう。
わかりやすく伝える
『コンセプト = 概念』と考えると取っ付きにくいですね。
でも、何かをわかりやすく人に伝えるには、コンセプトがあった方がいいと思いませんか。そしてそれは、わかりやすければわかりやすいほどいい。
『そこに山があるから』なんて、哲学的過ぎてわかるようなわからないような言葉です。もちろん、人はそんな言葉に対して奥深い感情を持ったりもするのですが。
コンセプトは『難しそうで抽象的な説明の対極にある』とすると気が楽になります。小学生にだってその『考えや意志』が伝わるように表現されたものが、良いコンセプトだといえるんじゃないでしょうか。