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no design, no life.

日本のデザインは文字の宝庫、というお話

2023-4-22

文字

繁華街にある看板を見渡してみると、私たちの周りで使われている文字の種類は、いったいいくつあるんだろうと思うことがあります。

5種類の文字を持つ国

日本には、ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベット・数字と、なんと5種類の文字種があります。さらに、古文のような旧仮名遣いや旧漢字(「はしごだか」のような)などもあります。

これらを普段から苦もなく使いこなしている日本人は、諸外国からすればクレージーに映っているんじゃないでしょうか。
文字がその国を反映するとすれば、随分と多種多様な文化だといえます。

デザイナーがデザインを考える上で、その多種な文字を扱えるというのは、幸せである反面、とても厄介な問題を抱えています。

というのも、日本語はともかくとして、アルファベットはその成り立ちが西欧諸国の文化背景の上に成り立っているので、その文字(フォントの形状)がどのようなイメージでデザインされていて、どう使われてきたのかを肌感覚で理解することが難しい点があるからです。

特に日本語とアルファベットを組み合わせる文字組み(和欧混植)においては、文字の骨格やベースラインが違いすぎるため、最新の注意を払う必要があるのです。

アラビア語、ベトナム語、中国語、ハングルといった言語もアルファベットと一緒に使われる場合がありますが、日本語のように何種類も使い分けているわけではありません。

雑多だからこそデザインが楽しめる

日本のグラフィックやエディトリアル、タイポグラフィといったジャンルのデザイナーは、そういった文字種を縦横無尽に扱わなければいけない、世界の中でも稀有な環境に置かれています。

英語と数字のみを使用するアルファベット言語圏のデザイナーは、そのフォントの深い世界を突き詰めるられることが、ある意味魅力といえるかもしれません。

一方で5種類ものフォントを操る日本のデザイナーたちにとって、ひとつの文字種をそこまで深く追求することは難しいのですが、複数の文字種を組み合わせることで、ハレーションのように生じる独特の雰囲気やおもしろさを探求することができます。
まるで、ひっくり返したおもちゃ箱をコツコツと片付けていく感覚のような。

「アルファベット」と「かな」、「漢字」と「カナ」と「アルファベット」と「数字」などをひとつの文字組みの中でパッケージ化したタイポグラフィは、おそらく欧米人には宇宙語にしか見えないでしょう。
そういものが「クール」などと呼ばれているらしいです。

いやがおうにもこういう環境の中でデザインができるわたしたちは、楽しみを独占できているのかもしれませんね。